三つの峰、ひとつの道
朝の霧が 経山を包む
静けさのなか 踏みしめる土
かつての城の名残は 苔の下
誰かが守り 誰かが奪い
今はただ 風が見張りをする
尾根を越えれば 鬼の城
石垣が空を裂き 門が口を開ける
温羅の影が 陽に透けて
伝説と史が 重なり合う
私はその狭間を そっと歩く
高丸山の道は 言葉を持たない
ただ 木々が揺れ 陽が差し
名もなき静寂が 心を洗う
何も語らぬ山ほどに
深く 何かを教えてくれる
三つの山は それぞれの声を持ち
歴史 神話 沈黙
それらが 私の足元に重なり
ひとつの道となって
背中を押してくれる
振り返れば 峰が連なり
歩いた時間が 空に溶ける
風が頬を撫で 陽が笑う
私は ただの旅人ではない
山に名を呼ばれた者だ
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三嶺行(さんれいをゆく)
山路踏苔滑
古城風語深
鬼門傳影在
孤客夢中尋
読み下し:
山路(さんろ)苔を踏めば滑らかに、
古城(こじょう)風(かぜ)語(かた)りて深し。
鬼門(きもん)影(かげ)を伝えて在(あ)り、
孤客(ここう)夢中(むちゅう)に尋(たず)ぬ。
訳:
苔むした山道を踏みしめると、
しっとりとした静けさが広がる。
かつての城跡には、風が語りかけるように
歴史の気配が満ちている。
鬼の門には、今もなお伝説の影が宿っている。
ひとり旅の私は、
その面影を夢の中で探し続けている。
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