写真が語り、AIが詩にする山旅(12)


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9月1日 雨乞山


2004年の風倒木後植林され育っているヒノキ
再び、山は息をする

風に倒れた日のことを
まだ根の奥で覚えながら
それでもヒノキは迷わず
空へ向かう道を選んでいる

植えられた苗は
雨の粒をひとつずつ受け取り
細い幹をそっと太らせ
森の影をつくる者となった

人の足音は少なく
風ばかりが道を渡る
けれどヒノキらは知っている
静けさこそが山の薬であることを
短歌

風倒の 
跡を抱きつつ 
伸びゆける
ひのき若木の 
影のあたたかさ

9月10日 星山


ナナカマドがもう赤い実をつけていた
青き葉に灯る赤の声 

青き葉の
まだ夏を離れぬ匂いの中で
赤い実だけが
ひと足早く
季節の扉を叩いていた

山の道は
緑の深さを増しながら
風の若さを
そっと抱きしめている
その奥で
赤は静かに息をしていた

遠くの稜線は
幾重にも重なり
時間の層をひらく
青と赤が
すれ違うように
今日の星山を照らしていた

夕の気配が
山の影を長くすると
赤い実は
ひと粒の灯のように
未来の季節を
そっと呼び寄せていた
短歌

夏の葉に
早き紅あり
揺れもせず
未来の季節
呼ぶかのごとし

9月12日 森林公園


アケボノソウ おたからこう湿原を占拠する程咲いていた
湿原の白い星

湿原の草のあいだから
白い星が
ひとつ、またひとつ
静かに立ち上がる

花弁の黒点は
夜の名残のようで
風が触れるたび
かすかな光を揺らす

湿原のひかりは
いつのまにか
白の方へ
そっと傾いていた
短歌

白き花 
星のかたちを 
そっともち
黒点ひらき 
光をたたえる

9月16日 擬宝珠山・象山


擬宝珠山稜線に咲くマツムシソウ
霧の稜線にひらく色

霧は
山の線を消しながら流れ、
世界は
白い息の中に沈んでいた。

その中で
薄紫の花が
そっとひらき、
色だけが
静けさの底を照らした。

風が触れるたび、
花は
霧の重さを受け止めるように揺れた。
短歌

風の手に 
揺られて咲ける 
その花は
静けさよりも 
深いもの持つ

9月22日 星山

緑の深みにひとすじの道 

緑の影が
まだ浅いところで
道はそっと
森の入口を開いていた
踏み出す一歩が
静けさを揺らす

葉の重なりは
歩むほどに濃くなり
光は細く
影は長く
道は迷わず
奥へ奥へと続いていく

風のない森は
音を抱えたまま
沈黙していた
その沈黙の中で
ひとすじの道だけが
未来へ向かう気配を
かすかに灯した

振り返れば
緑の深みが
歩いた時間を
そっと包んでいた
細い道は
ただ静かに
森の心を示していた/pre>
短歌

湿る土
踏めばやわらかく
息をする
緑の深みへ
細道のびゆく

9月24日 泉山

森霧のひかり

朝の森に
霧のひかりが落ち
木々の影が
静かに息をする

差しこむ光は
枝の間をすべり
土の匂いを
やわらかく照らす

歩むたび
ひかりは揺れ
道の奥へ
そっと導いていく

振り返れば
ただ光の気配
今日の泉山を
静かに抱いていた
短歌

ひかりさす  
霧のよろこび  
舞いあがり  
森の奥から  
朝の声する